Q2B東京2023年に参加しての雑感、その2
Q2B東京2023年の2日目のまとめ。例によって、メモを見ずに今残ってる記憶だけを頼りに書いている。それぞれのセッションで面白いと思ったものは個別にブログにする。
- 2日目はQuanasysのCEOのTennin Yan氏の基調講演で始まった。題目は量子業界が掲げるビジョンと苦悩。この辺りも別ブログで詳細に。。。
QuanasysのCEOのTennin Yan氏の基調講演
- BCGの渡辺英徳氏は多面からQCの市場に迫った。多くの市場データを提示したが、その中で、皆の興味は、いつになったら、QCが職場で使えるのだろうかという事。当然エラー訂正ができて、いつになったら、NISQからFTQCに移行するんだろうか。これは、誰もわからない。Googleが2029年までにと発表していて、その後それを変更していない。以前BCGが発表したタイムラインだと2030年はFTQCの最初時期だと発表していた。(筆者のブログを参照)。しかし、今回は業界の専門家に聞いたデータでは、以下のようだ。
いつQCは成熟するのか。業界専門家の意見。出典:BCG。
幾つかの古典コンピュータが解けなかった、問題を解けるようになるとみるのが90%、これはGoogleやその他のベンダーやアナリストが予測している2030年前後。しかし、完全なFTQCへの到達は2040年。しかし、これはBCGが以前の予測で初期FTQC到達が2030年前後で、完全なFTQCは2040-2050年と予測しているので、大きく変化したわけではない。むしろ、この進化の方が自然であり、一挙にFTQCに到達せず、徐々に成熟するとみるのであれば、妥当な意見だと思う。後のセッションでGlobal Quantum IntelligenceのDoug Finke氏も同様の予測をしている。つまり、FTQCは徐々に起こるもので、ある日突然起こるものではない。別ブログで、更に提示されたデータを見てみる。
講演するBCGの渡辺英徳氏
- 自動車とQCパネル。(他の分野「電気・電子、金融」のパネルについても同様の感想を持ったが。)それぞれの会社がどのようにQCと出会い、それを学び、自分のビジネスに応用してきたかの現実の生の声が聞けた。
- 大阪大学系統のプレゼンが多いと言ったけど英国関係も多かった。その中で、英国政府のPhillip Whiteの話も聞いた。英国のQCに対する意気込みが感じられた。ここも個別にブログを書いてみる。
講演中のPhillip White氏
- 電気・電子関連の企業とQCのパネル。産業は異なっても大筋で同じような話であった。
電気・電子関連の企業とQCのMCとパネリスト
- 金融とQCのパネル。産業は異なっても大筋で同じような話であった。金融業界は規模が大きいのと資金が潤沢なので、QCに対する取り組みが盛んである。是非ともブログを書いてみる。
金融とQCのパネル
- ありとあらゆるコンピュータに応用され始めているGPUの雄のNvidiaによる量子スーパーコンピュータへの道。量子への1つのステップとしてGPUを使う話があちこちにあり、GPUの雄のNvidiaによる量子スーパーコンピュータへの道は非常に興味のある話題で、是非とも個別のブログを書くことにする。
講演中のNvidiaのSam Stanwyck氏
- 2日目の朝食で偶然会ったDoug Finke氏のセッションに行ってみた。Finke氏はプレゼンは「いつになったら、QCの優越性が達成されるのか。」今まで、QCの優越性が発表されるると直ぐに古典派が古典システムでそれに迫る性能を達成するというイタチごっこ。FTQCが達成されないとQCの優越性が達成されないのかというと、2つの派があって、1. 達成が必要:Intel/PsiQuantumと 2. 必要ない:IBM/Pasqal/Rigettiなどで必ずしも同意はない。
講演中のDoug Finke氏
- Mckinsey もQCに関しては多くの情報を発信している。ここでは、Expert Partnerの Niko Mohr の講演を聞いた。Mckinseyは「Quantum Technology Monitor」で有用な情報を提供している。今年の4月号が最新のようだ。更に、プレゼンをまとめてみよう。
講演中のDr. Niko Mohr
- 日立のQCへの取り組み。日立はシリコンベースのQCの実機製造に取り組んでおり、その話を聞きたかったが、残念ながらAnnealingの話だった。
講演中の日立の山岡雅直氏