Q2B東京2023年に参加しての雑感、その1

Q2B東京2023年に参加して来た。個々のセッションに関してのブログを書く積りだけど、まず最初にメモも写真(ちとみるけど)も見ずに覚えている感じだけでまず書いてみる。(注:以下でQCは量子コンピュータの略)

結構たくさんあるので、箇条書きで。後で訂正するかもしれないけれど。まずこのブログでは1日目のまとめを書いてみる。何せ、記憶を頼りだけなので、間違いや欠落もあるかもしれない。その時は、しれっと後で足すことにする。

  • 流石にQ2B 東京二年目で、あまり基本的な話はなかった。エラー訂正とコンロールの話が多かったような気がする。また、3つのパネル(自動車、電気・電子関係の業界と金融の業界)を聞いて実際にそれぞれの企業がどのようにしてQCの技術やその応用について皆苦労しているのか伝わった。メッセージは1つ「何年掛かるかわからないけれど、早く始めて理論やツールを理解して、人材を確保して取り組まなければ競争から脱落する。技術が確立されてからでは、遅すぎる。兎も角QCは難解」このメッセージはあちこちで聞くけれど、実際にそれを体験しているバリバリの人々からの生の声は非常に重みがある。またいつになったら、本格的なFTQCができるのかという話だが、フェースブックのどっかに載っていたが、人に聞いて失礼なことは、年齢と収入。それともう1つ、「いつFTQCが完成するのか」。2日目のBCGのアナリストの方が業界の専門家の意見をまとめたのがあった。それについてはその2を参照してね。
  • QCWare CEOのMatt Johnson氏は日本でのここ一年のQCの動きをまとめ、シリコンバレー、東京、パリでのQ2Bの参加者の数の推移を示した。

講演中のQCWare CEOのMatt Johnson氏

日本のこの一年のQC業界の動きのまとめを示した。2日目にQunaysのCEOのYan氏も同様なまとめをしている。後で2つを比べてみよう。

    日本のこの一年のQC業界の動きのまとめ。投資、パートナーシップ、マイルストーン全ての分野で進展が。。出典:QCWare

    Q2B シリコンバレー、東京、パリでの参加者の推移。東京は昨年より約100名増加。パリの参加者は東京の最初の都市と同等程度。来年はきっともっと伸びるだろう。出典:QCWare

    • 基調講演は昨年に続き慶応大学塾長の伊藤公平先生、先生はまず日本政府内閣府の「量子技術イノベーション会議」の実用化推進WG主査という立場でその活動を報告した後、慶応でのQCの活動を報告した。詳細は別ブログで。

    伊藤公平先生、慶応大学塾長

    • Quantinuum社の岸田氏によるQuantiumm社の現在の紹介。筆者のブログではあまりQuantinuum社を取り扱ってこなかった。7月25日発売のCQ出版のInterfaceでは、QuantinuumのframeworkであるTket を含まなかった。別ブログで少し詳しく書いてみる。

      Quantinuum のTechnical Solutions Specialist の岸田 圭輔氏の講演

      • Riverlaneの名前はかなり頻繁に聞いていたが、会社の製品などの詳細は知らなかった。今回のコンファレンスでは、NISQからFTQCへの道であるエラー訂正を語るベンダーが多かった。エラー訂正は今までのブログでは殆ど取り上げてこなかったので、別ブログで各ベンダーの取り組みをソフトとハード面から取り上げる。

        VP Business Development のCory Vander Jagt

        • Classiq社はNTTのVenture Capitalの知り合いから意見を求められてみたことがあった。今のようなQCの群雄割拠では、それぞれのプラットフォームに応じた開発を求められて非常に面倒だ。そのため、機能仕様を実装から遊離させて規定して、環境に応じてそれぞれのプラットフォームに適した実装を行うというもの。今のQCの設計がAssembly言語で行われるという比喩を使うなら、Classiq社はHigh Level言語で仕様を与えてCompilerでターゲットのプラットフォームに適した実装を吐き出すというところか。エラー訂正と抽象化はこの2つが全てではないが、必須である。

          講演するCEOのNir Minerbi

          • Q-CTRLのCEOのMichael Biercukはエラー訂正に関してかなりはっきりとした意見で、話はとても面白かった。エラー修正に関しては、Error Suppressionが一番大事だと主張した。。独自のError Suppressionでシステムを実装して、検索のGrover’s Algorithmに適用した結果を発表した。筆者はこの分野で知識がないので、なんとも言えないが。結果が本当であればかなり説得される。Biercuk氏が批判するIBM(Error Mitigationを強調)はここに違いを記している。別ブログでもっと詳しく述べる

            講演中のQ-CTRL, CEOのMichael Biercuk氏

              Biercuk氏が示したエラー処理に関する手法の関係を示すスライド

              • 個人的な意見だけど、富士通は一番日本のベンダーの中ではQCに力を入れており成果を出していると感じた。ここはもう少し書いてみたい。 少し古いが佐藤氏の富士通のQCへの取り組みはここに示されている。

                富士通の佐藤信太郎

                    • Qunasysはこのコンファレンスの協賛をしている。Qunasysが大阪大学のspin-offであることと関係あるのか知らないが、このコンファレンスでは大阪大学およびそれの関連グループのプレゼンスが目立った。(大阪大学のQC関連の組織)日本で大企業を除けば、世界で名のしれたQCの会社と言えばQunasysとBlueqatくらいのものである。今年の5月IBM VenturesがQunasysに投資をしていることも頷ける。投資額は明らかにされていない。前もQunasysに関しては書いたが、今回も書くことにする。

                    講演中のQunasys CTOの菅野恵太

                    • QCWareの最近の話は聞かないわけに行かない。ここもまとめてみたい。

                    QCWareのYianni Gamvros氏、SVP, Marketing & Sales