QuantinuumのQCビジネス

今まで、あまりQuantinuumのQCに関しては取り上げてこなかったが、改めてプレゼンを聞くとなかなか面白い。Quantinuumは超巨大企業のHoneywell(全世界でビジネスを展開、従業員約10万人、売利上げ約500兆円)のQC部門(主にQCハードウエア)とCambridge Quantum Computing(QCのソフトウエア部門)が2021年11月に合併してできたQCに特化した会社だ。

Honeywellは日本ではあまり馴染みがないが、1906年創業で米国では超有名企業で多岐の産業で製品やサービスを提供する会社で、その裾野は広く、航空宇宙、エネルギー、ヘルスケアー、生命科学、ロジステイック、ユーティリティなどを含む。HoneywellのQC部門はIon Trap型のQubitを開発してきた。Ion Trap型といえばこのブログでも取り上げたIonQが有名だ。

同じIon Trapを使用しているとは言え、完全に同じ実装ではない。大まかには、実装は4種類あるが、双方それぞれの派生型を使っているようだ。岸田氏のプレゼンからQuantinuumはQCCD(quantum charge-coupled device) アーキテクチャをを使用していることとH2のプロセッサの形状はrace track Ion trapdであることは分かったが。これ以上は明らかにこのブログ、というより筆者の理解を超えており、「ひっしのパッチ」で時間を費やせばわかる様になるかも知れないが。それでは、ノルマが達成できない。でこの辺でご勘弁を。

そこで、岸田氏のプレゼンを聞いて、更に必要な部分を調査してまとめてみた。

Quantinuumの本社は米国だけど、日本支社も設立されている。以前はCambrigde Quantum Computing東京。

ここで、特記するのは、2022年に三井物産と「日本・アジア大洋州における量子コンピューティング市場開拓に向けた戦略的パートナーシップ契約の締結」したことだ。

ブログの残りは筆者がなんとなく分かっている分野で勝負する。以下の図をもとに話を進める。

明らかに、上から、セキュリティ、量子計算、AI/MLのアプリ、その下にSDK(フレームワーク)そしてその下にハードウエアの三層を示してる。まさに、この辺りを2023年9号のinterfaceの記事で解説した。その際、QuantinuumのTKETを落としたのは残念だった。しかし、まだ知名度は今いちだったから、仕方ないか。なお、QuantinuumのシステムはMicrosoft Azureのクラウド経由でアクセスできる。

下の層から行くと、H-SeriesはQuantinuumのQPUだ。現在はH1に次今年の5月にH2がリリースされた。H2はH1の改良版で、それは以下のスライドにまとめられている。

ハードウエアはH5まで計画されている。それぞれの形状は次のスライドにまとめられている。

形状の変化で更に多くのQubit を実装できるようになっている。

Qubitの数だけでなく、回路の品質を定義するQuantum Volume(QVと略す、IBMが最初に定義した)も増加している。現時点では、Quantinuumが最大のQVを持っている。

ここで、quantinuumはTKET SDKが他社のQPUシステムにも搭載できると主張しているので、調べてみた。TKETはオープンソースであり、そのdepositはGithubなんで、 そこへ行ってみた。明らかになんらかの変更が必要だが、ここに他のどのQCプラットフォームをサポートするか載っている。それは、

上4つは米国の会社の製品で、既に製品が存在してユーザーもいる。最後の1社はヨーロッパの会社だ。QCのハードウエアの他、複数のシミュレータもサポートしている。

Quantimuumのブースで実際に幾つかの他社のQPUシステム上で走る様にするtweakのテーブルを見せてもらった。

3つサポートしているアプリケーションは、妥当だろう。セキュリティ、量子計算、AI/MLが今一番有望と見られている分野だから。最適化は、問題を絞れば応用もあると思うが、今はまだ難しいだろう。そのほか、Quantinuumはrandom number generatorも製品として発表している。

今後もQuantinuumも筆者のレーダースクリーンに乗せて、追い続けたい。このブログもアップデートして行きたい。