Q2B TokyoのKeynoteの一部を紹介

幾つかのKeynoteをまとめて書いてみる。全部を網羅しないが、これは筆者の趣味で決めてある。ちなみに、コンファレンスのagendaは

7-13

7-14

13日は、QCWare CEOのMatt Johnson氏の後に数人がKeynote講演を行った。

順番は、慶応の伊藤公平塾長、Boston Consulting GroupのPartnerのMatt Langione氏、IBM QuantumのAparna Prabhakar氏で残りはまたの機会に。

伊藤塾長の英語は素晴らしかったが、内容は内閣府のプレゼン(リンク)の後の話だったので、最初のスライドに留める。後のブログで内閣府のプレゼンや日本企業の動きも述べる。英語が素晴らしいのは、以下の抜粋から明らか。

伊藤公平塾長(wikiより抜粋)

應義塾幼稚舎慶應義塾普通部慶應義塾高等学校を経て、1989年に慶應義塾大学理工学部計測工学科を卒業。1992年カリフォルニア大学バークレー校より修士号(材料科学)取得、1994年同カリフォルニア大学バークレー校より博士号(材料科学)取得。米国ローレンスバークレー国立研究所特別研究員を経て、1995年慶應義塾大学理工学部助手。同専任講師、同助教授を経て2007年4月より同教授。2017年4月より慶應義塾大学理工学部長・理工学研究科委員長、2021年5月28日より慶應義塾長。

伊藤公平慶応塾長
伊藤塾長の最初のスライド

因みに慶応でのQCの取り組みは、ここを参照

次にBoston Consulting GroupのPartnerのMatt Langione氏。当然市場動向や規模などの話は重要。

Boston Consulting GroupのPartnerのMatt Langione氏

内容は幾分のアップデートはあるものの、BCGが以前発表したレポートのまとめを筆者が以前に書いたブログとほぼ同じ内容なので、筆者のブログのリンクを貼っておく。更に2枚のスライドに興味深いデータが載っているので、ここに提示する。因みにLangione氏はこのレポートの著者の一人。

3つの分野で起こり得る計算の速度増加と他の分野も含めての市場規模の推移、出典 Matt Langione氏のプレゼンより

左側は、材料、創薬と金融分野での計算速度の増加と計算に掛かる時間の削減の情報。本当にこのような速度の改善が見られるのなら、圧倒的に右のような、市場の伸びも期待できるだろう。右側は現在から2030年に渡る、各種の分野とその市場規模を示したもの。因みに多くの会社やアナリストは2030年くらいに誤り訂正が可能な量子コンピュータが完成すると見込んでいる。

金融業界での導入概念実証のリスト、出典 Matt Langione氏のプレゼンより

上のスライドは金融業界での導入概念実証のリスト。あちこちで部分的に発表されているが、この規模の包括的なリストはなかったので、ここに示す。金融業界では、予想や予測を短時間で算出できることで、顧客の満足度や競争力を増すことができると考えられている。

ここで、非常に素人的な発想だけど、市場を読む機能が発展した場合、自分だけその情報やデータが入手可能であれば問題ないが。もし、多くの(場合によっては殆どの)金融機関がその情報を入手できてしまえば、それが影響して市場が動的に動いて折角入手した情報やデータが変化してしまわないのだろうか。コンピュータによる自動取引は一旦悪いループに入ってしまうと、とことん市場を破壊してしまうこともある。実際それに近いことが以前あったと読んだことがある。2010年5月6日1987年10月。

次に、IBM QuantumのAparna Prabhakar氏

Aparna Prabhakar氏, Vice President IBM Quantum Partner & Alliances

Prabhakar氏はIBM Quantum Networkの詳細を述べた。ここで繰り返さず、IBMのサイトを参照されることをお勧めするが、まあ簡単な全容を述べると。IBMの量子コンピュータを中心にIBMに研究者をコアにして、多くの研究機関、政府関係、企業の研究者を集結して、共同研究や開発を行うネットワークで、範囲は世界中に及ぶ。

多くの数字が示されたので、その一部を貼っておくと、

出典:Aparna Prabhakar氏のQ2B Tokyoでの発表資料より

出典:Aparna Prabhakar氏のQ2B Tokyoでの発表資料より

なお、日本に関わるスライドを貼っておく。

出典:Aparna Prabhakar氏のQ2B Tokyoでの発表資料より

研究機関としては、最初に慶応大学が、2018年5月にIBM Quantum Network Hubを開設した。更に、IBMは2021年6月には東大キャンパス内に量子コンピュータ技術のハードウェアに関する研究や開発を行うテストセンターを開設したと発表した。幾つかの日本企業でIBM Quantum Networkに属する一部の企業を示しておく。