超電導量子ビット
超電導量子ビットの動作原理について、わかりやすい資料を見つけました。その概要です。
QC — How to build a Quantum Computer with Superconducting Circuit?
量子ビット
量子コンピュータにもちいられる量子ビットには、光、イオントラップ、冷却原子、量子ドット、超電導量子ビットなど、様々なものがあります。ここでは、超電導量子ビットの動作をみてみたいと思います。超電導量子ビットは、イオン、冷却原子などと違って、物理的な量子をつかうのではなく、人工的な量子ビットです。
超電導量子ビット
これが、超低温量子ビットです。量子ビットに、いろんな周波数や長さのマイクロ波を印加することによって、量子ビットを操作したり、計測したりします。量子状態は、熱やその他の擾乱で、簡単に変化してしまいますので、量子ビットは、15mK という超低温に保たれます。また、超電導回路をもちいるためにも、超低温が必要です。
超電導
金属が、超電導を起こす超低温状態にあるとき、2つの電子がクーパー電子対となり金属中を抵抗0で移動します。
超電導量子ビット
超電導量子ビットは、実は、LC回路なのです。
LC回路のエレルギーレベルは、量子調和振動としてモデル化できます。
ただし、この回路ではエネルギーレベルが均等になっていて、量子ビットを、$|0\rangle$ から、$|1\rangle$に持ち上げようとしたとき、偶発的にさらに上のレベルに持ち上がってしまうことがあります。これを防ぐために、ジョセフソン接合が用いられます。
薄い絶縁層を超電導電極ではさんだジョセフソン接合は、非線形のインダクタとして働きます。これによって、量子状態が、きちんと制御できることになります。
おのおののエネルギーレベルは、下の図のsuperconductiong islandに存在するクーパー電子対の数に対応します。
IBMのQubit
IBMのQbitの例です。ニオブをもちいたキャパシタとジョセフソン接合がLC回路を構成しています。正確にチューニングすると、この回路は、2つのエネルギーレベルを持つ量子ビットとして動作します。 量子ビットを、$|0\rangle$ から、$|1\rangle$に持ち上げるときには、周波数 $\omega_{\mathrm{LC}}=\frac{1}{\sqrt{L C}}$ のマイクロ波を印加する必要があり、周波数をこの値になるようチューニングする必要があります。
量子ビットには、共振器をつうじてマイクロ波が印加されます。
マイクロ波のパルス幅が量子ビットのブロッホ球の特定の軸にたいする回転を制御します。
量子ビットには、さらに他のQubitへの共振器がカップリングされます。
2量子ビットのもつれ
超電導量子ビットでは、量子もつれを生じさせるに、2つの量子ビットがカップリングされます。2つの量子ビットを共振器で結合することは困難であるため、すべての量子ビットが繋がれるわけではありません。例えば、5量子ビットのIBM Q では、20の組み合わせがありますが、6つの結合だけが実装されています。
また、これが、20量子ビットのIBM Q20の結合の状態です。
計測
計測を行うには、マイクロ波を共振器に印加し、反射波を分析します。反射波の振幅や位相が量子状態を反映します。
参考資料
QC — How to build a Quantum Computer with Superconducting Circuit?