よろずQCのZen問答:なぜ量子コンピュータ(QC)は難しいのか?表層的な説明と専門すぎる説明の2択しかないからではないのか。
QCを弄りだしてから、ずっと気になっていたことだが、どうしてこうもQCって難しくてわかりにくいのだろうか。個人的な意見だが、これは情報が完全に2極化しているからではないだろうか。つまり、1) スポーツ新聞の見出し並みの簡単なものと、2)ガチガチの難解な数式でずらっと説明したものだ。1)の見出しレベルのものは、QCが今までのコンピュータより断然速く、暗号も完全に破られると煽る。AIがある程度人々の耳目を集め出すと、全ての自動化はAI化と言い換えられたように、見出しだけ読んでいると、QCは既に実用化されたような印象さえ持ってしまう。2)の難解なレベルは、数学・物理と量子力学の基礎や応用力がないとわからん数式のオンパレードで、さっぱり分からない。確かに、QCの説明はこの難解な数式でしか説明できないという人も多々いる。これでは、QCを新たに学ぼうという人が挫折してしまう。筆者は挫折を乗り越えようともがいている最中だ。
さて、文句を言っても始まらない。ではどうしようか。答えは簡単だ。見出しレベルと専門家レベルの間の情報を発信すれば良い。多分、どこかにそういう情報を発信している人やサイトがあるのだろうが、現在まで発見できていない。じゃあどうするのか。言い出しっぺは自分でやるしかない。というつもりで、このblogシリーズを書いてきた積もりだ。
もし、筆者がQCを最初から学びたかったら、こういう情報が欲しい。
モデル
QCのalgorithmに関しては、いくつかのモデルに基づいており、Algorithm間にも親・子供の関係があり、それぞれある分野に応用することができる。
モデルに関しては、D Wave社のYoutube投稿の中で、以下のような情報が提示されている。
こういう情報もあちこちに点在しており、なかなか素人には分かりづらい。そして、このレベルになると見出し的な説明は姿を消して、わっーーと数式のオンパレードになる。流石に、「Adiabatic」と「Gate Model」は分かる。というか、前者は「断熱」で後者は古典コンピュータの論理ゲートを組み合わせた「Circuit Model」だということくらいは知っている。Adiabatic Quantum Computing(AQC)に関しては、ここに分かりやすく(自分の理解のレベルで)解説した。
そのblogから抽出した下の図で、D Waveの絵の意味がはっきりとする。
Gate modelは比較的簡単で、例えば、IBMのQiskitのサイトには詳細な説明や例がたくさん載っている。下の図はShor’s Algorithm
他のモデルの話は後のblogで全体像が掴めてから。
Algorithmと相関関係
それぞれのalgorithmやお互いの主従の関係の一部は以前のblogで解説した。
- よろずQCのZen問答: 世界規模でみた現在の量子コンピューター市場を端的にまとめる (その3-2:ソフト)
- よろずQCのZen問答:QCのAlgorithmの分類
- よろずQCのZen問答: QCに関する基本データ(Version-1.2)
更に、応用分野は、「量子コンピュータ(QC)に関してこれだけ知っておくと10分は情報通のようにQCを語れる。」の一部から抜粋すると:
- 応用分野の分類の仕方はいくつかあると思うが、BCGは以下の4つの大きな分野に分類してそれぞれに属する具体的なものをリストしている。
- Simulation(シミュレーション):自然界で起こる現象で、複雑すぎるため古典コンピュータでは解析できないような事象を扱う。創薬、バッテリーの設計、流体動解析、金融分野のデリバティブやオプションの値付け
- Optimization(最適化):配達経路や金融分野のポートフォリオのリスク管理での最適化
- Machine Learning(MLまたは機械学習):ML アルゴリズムでトレーング用のデータの決定など
- 暗号:現存の暗号の解読やより解読不能な暗号の標準など
などが典型的な分類の仕方である。Blueqatの湊氏はこの他に金融の分野をあげている。
こういう図を描きたい
上の情報を総合して加筆して、次の図のようなものを描きたい。この図は、イメージであって本当の関係ではないが、こう言う感じで示したい。
今後、この図を完成させたい。