よろずQCのZen問答: 世界規模でみた現在の量子コンピューター市場を端的にまとめる(その1: ハードウエア)

大体量子コンピューター(QC)の概論というと、QCの原理から説き始めるのが定石だが、このブログでは筆者の興味のある分野から書いていく。QCの原理などは色々な情報源があるのでそちらに任すことにする。例えば、湊氏の著書 (真下の1と2) や大阪大学からスピンオフしたQunasys社が提供しているtutorial(3)などだ。その他にもいくつかある。日本語に限らなければ、更に選択肢は広がる。

  1. いちばんやさしい量子コンピューターの教本 
  2. みんなの量子コンピュータ
  3. Welcome to Quantum Native Dojo! (日本語)
  4. その他、色々なレベルの短時間のビデオや大学の講義のビデオなども多数ある。

巷に存在する解説書の大部分は大体2つのグループに分けられる。1つは見出しレベルの詳細でともかく煽るもの。QCがこの世の全ての解決方であると主張するようなもの。2つ目は、これは専門家による詳細な記述だ。難しい数式を駆使して難しい理論をとうとうと述べられても一般市民にはなんのことか分からない。そうなると見出しよりはもう少し詳細だけど、数式を振り回さない程度のものってなんらかの需要はあるのでないかという仮定の元に書き始めてみる。

今回はもともと簡単によくまとまっているblueqat社 の湊氏のブログをベースにして筆者なりに料理してみる。なお、湊氏には了解済み。及び必要に応じて関連ある情報も加味し思うことも述べてみる。まず一回目は子コンピュータの最新トレンド。4つのハード、4つのソフト、4つのクラウド。これだけ覚えればOKをベースに書いてみる。書き出したら長くなりすぎるので、ハード(その1)、クラウド(その2)、最後にソフト(その3)に分割する。

なお、湊氏の中身の使用は当然として図、表、グラフ等ブログ内で使用された情報はその都度引用先を明確に記述する。なお、引用する記事は英語が圧倒的に多い。後日適当なものが日本語で提供されていれば、それと差し替える。

四つのハードの方式

4つの方式があげられている: 超電方式イオントラップ方式、シリコン量子ビット方式、そしてフォトニクス方式。以下の図を参照。このうち現在使用可能なものは最初の二つ。後の二つは、まだこれからだ。ということで、この時点ならば、最初の二つの方式を知っていれば十分だろう。ただこの業界進歩が早いので、あちこちにアンテナを張ってないと遅れをとるというのも確かだ。それぞれの方式に関しては後のブログで簡単な説明をする。

図−1:4つのハード方式 (出典: 4つのハード、4つのソフト、4つのクラウド)

これらの方式は、湊氏が簡単にまとめている。更なる詳細は必要に応じて今後のブログで触れる。

超電導は超電導素子を組み合わせたもの、イオントラップは原子をイオン化したものにレーザーを打つもの、シリコンは既存シリコン上に電子をとじこめて操作するもの。フォトニクスは主に光をチップ化したナノフォトニクスデバイスを利用します。

4つのハード、4つのソフト、4つのクラウド

最初に挙げられているのは2015年から始まった超電導方式で、このハードは超低温で可能になる超電導を利用していることだ。超低温(絶対温度ゼロに近い温度、約マイナス273度) は周りからの影響を排し量子の状態を保つために必須で、超低温を維持する複雑で高価な装置が必要となり、その管理・維持にも莫大な費用が必要である。この分野ではIBMGoogleが実機を提供して市場をリードしている。ベンチャー企業のRiggeti社も参入しているが、最新の投資のラウンドでは市場評価額を下げる値で妥結している。大企業のIBMやGoogleを相手にして結果を出すのはかなり苦しいようだ。

次に挙げられているオントラップ型は、超電導型とは方式が異なり、超電導方式ほどには温度を超低温に保つ必要はない。この方式を採用しているのはHoneywell社IonQ社だ。特にIonQ社は今年2021年に株式上場して市場価値は約2000億円と推定されている。量子コンピュータビジネスを主体とする会社が上場するのは初めてで今後も同様な形態(空箱上)で上場する会社が出てくるかもしれないと湊氏は述べているが、筆者も同意見である。将来性はあるものの、2−3年で結果が出せないと莫大な経費がかかるため大量投資を募りつつけていくのは厳しいだろう。先に別の会社(事業内容は全くの空)を上場して資金を調達して、有望なQCの会社と合併させる方法はある意味禁じ手だろうが、賢いやり方ではあるだろう。

シリコン型はまだこれからだが、川畑史郎氏の最近のプレゼにもあるように、その利点は最先端のシリコン電子工学を適用できるために、大規模化により大量生産が可能になり、超低温度を必要としないため小型化が見込めることである。川畑氏も湊氏もこの方式が将来は本命になると見ている。但し、いつ頃実用化できるかは不透明だ。この方式に参入している主な企業はIntel、台湾の半導体メーカの大手のTSMCである。特記に値するのはベンチャーのSilicon Quantum Computingだ。ここには、米国のUniversity of CaliforniaのSanta Barbra校の教授でGoogleに移動したのち辞めて参加したJohn Martinisがおりその際には話題を集めた。湊氏はYoutubeチャネル(量子コンピュータチャンネル Blueqat)とほぼ毎日勉強会と称して30分程度のZoomによるプリぜんを行っており、その中でGoogleの超電導型のQCに大いに貢献したMartinisは超電導の限界を見越してシリコン型に舵をきったのかもと発言していた。

上3つは原則として電子を量子として使用しているが、フォトニクス方式では光を量子として使用しているので、上の3つとは大きく異なる。湊氏の会社ではphotonqatで光方式をの方式を研究開始している。フォトニクス方式で活動を続けている会社にはPsi QuantumXanadu社が上げられる。2社は光を使っていることは同じだが、詳細な手法は異なる。

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